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安全な麻酔

誰にでも安全な手術法です。

全身麻酔や腰椎麻酔中には、血圧などのバイタルサインが大きく影響されます。特に、全身麻酔法を用いる手術は呼吸筋肉をはじめ、全身の筋肉を完全に弛緩させた状態で手術を行います。そのため、非常に複雑な装置を使用して全身の変化を注意深く観察しながら手術を行わなければなりません。これは、全身麻酔がその分危険だということを意味します。しかし、局所麻酔法は、患者と医師が話し合いながら手術することのできる非常に安全な麻酔法です。

特に高齢者に安全です

ヘルニアは、年齢が高いほど起こりやすい病気です。しかし、全身麻酔や腰椎麻酔の危険性のため、手術を断られたり、ためらったりする高齢のヘルニア患者さんが多くいらっしゃいます。しかし、局所麻酔はいくら年齢が高くても問題にはなりません。そのため100歳、103歳の超高齢の患者さんも安全に手術を受けることができました。

  • 103-year old senior
  • 100-year old senior

特に幼児にも安全です。

最近報告されている研究論文によると、3-4歳以下の乳幼児に全身麻酔を用いる手術を受ける場合、脳の発達に影響を及ぼす可能性があり、認知能力の低下をきたす恐れがあるということが明らかになっています。このような研究論文で最もよく取り上げられている手術の一つが、全身麻酔法を用いる幼児のヘルニア手術です。このような危険性のため、3-4歳以下の患者の場合、必ず必要な場合でなければ、全身麻酔法を使う手術を延期するか、もしくは局所麻酔で手術を受けるよう専門家は助言しています。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/294966.php

http://www.redaccionmedica.com/contenido/images/ESTUDIO_pediatria.pdf

慢性疾患のお持ちの患者さんにも安全です。

呼吸器疾患, 心臓疾患, 血圧などの循環器疾患, 腹水などの肝臓疾患, 血液透析が必要な腎臓疾患、糖尿病などの内分泌疾患のほか、どのような疾患を持っていても、ほとんど制限なく安全に手術を受けることができます。


ヘルニアの低い再発率

複雑なヘルニアや、何度も再発したヘルニア、特にメッシュを用いるヘルニア手術後に再発したヘルニアの場合は、ヘルニア嚢を探すのが大変な時があります。このようなケースでは、ヘルニア嚢を探して確実に処理しないと、再発の可能性が非常に高くなります。

しかし、局所麻酔中は患者が意識を保った状態で手術が行われます。医師の要請があれば患者が咳をすることができるため、ヘルニア嚢をすぐ見つけられます。複雑なヘルニアであればあるほど、局所麻酔法を用いるヘルニア手術は再発の危険性を抑えます。


合併症の予防

手術終了後、すぐに痛みを感じる全身麻酔とは異なり、局所麻酔を用いれば、ヘルニア手術が終わっても3~4時間以上は痛みを感じません。ですので、手術後すぐに動くことができます。

しかし、全身麻酔の場合は手術後にすぐに感じる痛みのため、すぐには簡単に動けません。腰椎麻酔がかけられた後すぐに動く場合、脊椎液が漏れることによる激しい頭痛が起きる可能性があります。そのため腰椎麻酔法を使用した手術の後は、少なくとも12時間以上ベッドに枕を使わずに横たわっていることが望まれます。

手術後すぐ動くのは、特に高齢者によく起きる肺炎や深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)などの致命的な合併症の予防にも大きく役立ちます。

従って、局所麻酔法を用いる手術は、致命的な合併症の可能性を抑える最も安全な手術です。

after undergoing a local hernia repair

手術前の絶飲食不要

ほとんど手術の前に絶飲食が必要であることは常識です。しかし、絶飲食は多くの場合、手術のためではなく、麻酔のため必要とされます。開腹手術を行うとき以外は、手術自体で絶飲食が必要なことはありません。

絶飲食が必要とされる理由は、全身麻酔中に発生しうる致命的な合併症である吸引性肺炎を予防するためです。腰椎麻酔は、場合によっては全身麻酔法に替えなければならないため、原則として全身麻酔準じて準備しておかなければなりません。

開腹手術は、当然局所麻酔では行うことができません。そのため局所麻酔法を用いる手術は、絶飲食が不要です。局所麻酔中には、手術中に嘔吐するケースが少なく、もし嘔吐しても反射機能を正常に保ったままなので、吸引性肺炎の可能性はありません。

そのため、局所麻酔法を使うヘルニア手術の場合は、絶飲食の必要はありません。


薬の服用は中断しなくても良い

最近は、心血管疾患や脳血管疾患の予防のため、普段からアスピリンや抗凝固剤を飲んでいる方々が多くいらっしゃいます。特に、このような方々は年齢が高いほど多い傾向にあります。アスピリンや抗凝固剤は、止血機能を低下させる薬です。

しかし、全身麻酔や腰痛麻酔中には、深い位置にある血管が損傷し、出血する恐れがあります。そのためアスピリンは手術する7日以上前から、抗凝固劑は手術3日以上前から服用を中止しなければなりません。また、範囲が広く複雑な手術の前にも、手術箇所のひどい出血を予防するためにこのような薬の使用を事前に中止しなければなりません。


最小限の侵略性

しかし、局所麻酔法で行われるカン修復術(Kang repair)は、手術前に服用中の薬の使用を中断する必要が全くありません。

局所麻酔中に血管が損傷し、出血したとしても、電気メスなどで簡単に止血できるためです。また、カン修復術(Kang repair)は、手術範囲が狭い簡単な手術であるため、出血の傾向があったとしても、すぐに止血することができます。

そのため局所麻酔法を用いるカン修復術 (Kang repair)を受ける前には、これらを含むいかなる薬の服用も中止する必要はありません。

このような薬の使用を中止することにより、患者が元々持っていた疾患へ悪影響を与えることを事前に防ぐことができます。


痛みのない局所麻酔

Wait! ちょっと待ってください! 局所麻酔の長所はよくわかるけれども、注射を打つ時の痛みが怖いですって? 心配は要りません。当院ではまず、鎮痛剤を静脈に注入し、少しだけ眠っていただいてから局所麻酔薬を注射するので、注射による痛みの心配は全くありません。